事業計画を作成する前にすべきはビジネスモデルの構築2017年09月28日
「顧客にとっての価値」を主軸とするビジネスモデル構築に役立つ「ビジネスモデル・キャンバス」
創業をする時、何か新しい取り組みを始める時、融資を受ける際や補助金申請などの際に事業計画書を要求されるシーンは多いかと思います。そんな時にいきなり事業計画書を書いてしまうと、各項目を埋めることが目的となってしまいがちで、全体の整合性が取れていないケースが多くみられます。そのため、「事業計画書を作成する前にしっかりとしたビジネスモデルを構築すること」が重要となってきます。「ビジネスモデル」は最近よく耳にする機会が多い言葉ですが、実は使っている人によって定義が異なっていることが多い言葉のひとつでもあります。Wikipediaでは下記のように記述されていますが、「儲ける仕組み」と理解されていることも多い言葉です。
顧客は企業から提供される製品やサービスと引き換えに代金を支払い、企業は利潤を得るという一連の構造を指してビジネスモデルと呼ぶ。この「ビジネスモデル」を分かりやすく俯瞰し設計するために開発された「ビジネスモデル・キャンバス」を日本語訳した書籍「ビジネスモデル・ジェネレーション」では下記のように記述されています。
どのように価値を創造し顧客に届けるかを論理的に記述したものここでいう価値とは顧客にとっての価値であり、「自社がこの技術がすごいんだー」とか「この商品のこの機能がすごいんだー」などという自社目線の価値ではないという点がポイントです。
ー アレックス・オスターワルダー著 イヴ・ピニュール著 小山龍介訳 ー
この「ビジネスモデル・キャンバス」では、「顧客にとっての価値」を中心に価値を創って届けるために重要な9つの要素が論理的かつ構造的に配置されているため、ビジネスモデルの組み立てに非常に役に立ちます。
・CS Customer Segments(顧客セグメント)これらを1枚の用紙に書き出し俯瞰でみながら仮説検証を繰り返すことで、「顧客に選ばれる、自社で実現が可能な強いビジネスモデル」を組み立てていくことが可能になります。
価値を届ける相手となる主要な顧客を書きます。
・VP Value Propositions(提供価値)
顧客にとっての価値。顧客が、なぜ他の商品・サービスではなく、あなたの会社の商品・サービスを選ぶのかといった理由となる価値を書きます。
・CH Channels(チャネル)
顧客に価値を届けるための経路。知ってもらうための経路、商品・サービスを提供するための経路、アフターフォローのための経路などを書きます。
・CR Customer Relationships(顧客との関係)
顧客との関係性を維持、継続させるための顧客との関係の深さ、長さを表す言葉が入ります。
・KA Key Activities(主要活動)
顧客に価値を提供するために行っている、組織内での主要な活動を書きます。
・KR Key Resources(リソース)
顧客に価値を提供するために必要な、主要なリソースが入ります。
・KP Key Partners(パートナー)
自社だけではまかなえない主要活動やリソースを提供してくれる外部パートナーを書きます。
・R$ Revenue Streams(収益の流れ)
顧客は何にどれくらいどのように対価を支払うのか。何によって売上があがるのかを書きます。
・C$ Cost Structures(コスト構造)
主要活動、リソースの維持、パートナーへの支払費用など、何にどれくらいコストがかかるのかを書きます。
ビジネスモデルの設計書「ビジネスモデル・キャンバス」を活用したビジネスモデルの構築や事業計画書の作成については、経営指導員までご相談くださいませ。