コラム

「フリーランス・事業者間取引適正化等法」実務対応のポイント2024年10月01日

どんな法律?

近年、働き方の多様化が進むなか「場所や時間に捉われず働きたい」「自分の仕事のスタイルで働きたい」といった、フリーランスという働き方が社会に普及してきました。一方で、個人で活動しているフリーランスが、取引先から「報酬が未払いである」「ハラスメントを受けた」というようなトラブルも増加しています。本法は、発注者である取引先との関係で交渉力に格差が生じやすいフリーランスが、安心して安定的に働ける環境を整備するために制定された法律です。


法律の対象となる事業者


対象となる取引

事業者 →(業務を委託)→ フリーランス
事業者からフリーランスへの委託、つまり「BtoB」が対象

※フリーランスからフリーランスへの業務委託も対象となります。
※消費者との取引は対象外です。

対象となる取引例

・物品の製造や加工などの委託
・ソフトウエア、映像コンテンツ、デザインなどの制作委託
・運送、コンサルタント、営業、演奏、セラピーなど役務の提供を委託

本法の施行により、フリーランスと発注者の双方に新たな義務や権利が生じます。両者がこの法律を正しく理解し、適切に対応することで、より公正で健全な取引関係を築くことができるでしょう。また、この法律を単なる規制としてではなく、フリーランスとの協働をより良いものにするチャンスとして捉え、積極的に取り組むことが重要です。

発注事業者の義務

1.取引条件の明示義務

フリーランスに対し業務委託をする場合は、必ず取引の条件を書面または電磁的方法により明示しなければなりません。

2.期日における報酬支払義務

発注事業者は、発注した給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、支払期日を定めて、その日までに報酬を支払わなければなりません。

3.発注事業者の禁止行為

①受領拒否
フリーランスに責任がないのに、発注事業者の一方的な都合による発注取り消しや、委託した物品や情報成果物の受け取りを拒むことはできません。

②報酬の減額
フリーランスに責任がないのに、業務委託時に定めた報酬の額を後から減らして支払うことはできません。

③返品
フリーランスに責任がないのに、フリーランスに委託した物品や情報成果物を受領後に引き取らせることはできません。

④買いたたき
フリーランスに委託する物品等に対して、通常支払われる対価に比べ著しく低い報酬の額を定めることはできません。

⑤購入・利用強制
フリーランスに委託した物品等の品質を維持、改善するためなどの正当な理由がないのに、発注事業者が指定する物や役務を強制して購入・利用させることはできません。

⑥不当な経済上の利益の提供要請
発注事業者が自己のために、フリーランスに金銭、役務、その他の経済上の利益を提供させることによって、フリーランスの利益を不当に害することはできません。

⑦不当な給付内容の変更・やり直し
フリーランスに責任がないのに、費用を負担せずに、フリーランスの給付の内容を変更させたり、フリーランスの給付を受領した後に給付をやり直させたりして、フリーランスの利益を不当に害することはできません。

4.募集情報の的確表示義務

発注事業者は、広告等によりフリーランスを募集する際は、その情報について、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。

5.育児介護等と業務の両立に対する配慮義務

6か月以上の期間で行う業務委託について、フリーランスが妊娠、出産、育児または介護と業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。(6か月未満の期間で行う業務委託については、両立できるよう配慮に努めることが必要)

6.ハラスメント対策に係る体制整備義務

ハラスメントによりフリーランスの就業環境を害することのないよう、相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければなりません。

7.中途解除等の事前予告・理由開示義務

発注事業者は、①6か月以上の期間で行う業務委託について、②契約の解除または不更新をしようとする場合、③例外事由に該当する場合を除いて、解除日または契約満了日から30日前までにその旨を予告しなければなりません。

違反行為への対応

フリーランスは、上記発注事業者の義務に違反すると考えられる場合や、契約解除、報酬未払いなどのトラブルが発生した場合は、「フリーランス・トラブル110番」などの相談窓口を利用できます。違反が認められた発注事業者には、命令・公表のほか50万円以下の罰金が科せられる場合があります。

関係省庁委のHPでの詳しい資料


内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/freelance/index.html

公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html

中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html



問合せ:箕面商工会議所 中小企業相談所
072-721-1300



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