失敗しないための「キャッシュレス」対応2019年05月13日
政府は2027 年6 月までにキャッシュレス決済比率を40%にまで引き上げるという目標を打ち出しています。長期的には80%まで引き上げるとも言われています。キャッシュレス社会は国、大企業にとってはメリットがあるのですが、消費者や小規模事業者にとっては大きなメリットが今のところありません。そこで、政府は今年10 月の消費増税に合わせて、キャッシュレス・消費者還元事業を実施します。当事業に参加している、アクワイアラーと言われるキャッシュレス決済業者の加盟店になることで、一般事業者は当事業に参加できます。これから一般事業者はアクワイアラーのサービス内容を選び加盟店となった後に、アクワイアラーが当事業への代行申請することをもって、当事業に参加となります。登録は5月中旬開始を予定しています。まずは、当事業で経済産業省が提唱する加盟店メリットと注意点をご説明します。
経済産業省がアクワイアラーに対して補助金を出すことで、アクワイアラーは端末を無償提供します。注意点としては、期間後に端末に関する請求が発生するケースです。たとえばリースの場合などは期間終了後、端末代が発生しますのでご注意ください。
注意点としては期間後の決済手数料は上がる可能性があるということです。期間後の決済手数料は公開しなければならないとなっていますので、期間後の決済手数料は何%になるのかを把握する必要があります。
当事業が提唱するメリットの説明をしてきましたが、ポイントバックを導入することによって、顧客を失わないためにキャッシュレスに対応することは避けられそうにありません。
そこで、キャッシュレス対応のためのポイントについても2点説明します。
たとえば売上の3%が手数料となるということは、原価率が3%増加することと変わりありません。原価率25%の飲食店は、原価率が28%になります。それでは売上を3%増加すればいいかというとそうではなく、増加した売上高にも原価はかかるので、3%以上売上を増加させる必要があります。原価率25%の例を続けると、4 .2%の売上増が必要になります。ここで2018年11月に経済産業省が報告した㈱野村総合研究所のアンケート結果によると、キャッシュレス決済の導入による客数の増効果は平均+2 .1%で客単価の増効果は平均+1 .6%とされています。
売上は客数× 客単価であることを考慮すると、3.73%となります。しかし、これは必要な4.2%の売上増をクリアしていません。それに、客数も客単価も変わっていないと回答した事業者が4割弱存在します。キャッシュレス利用者にとってキャッシュレスは当たり前であり、キャッシュレスの導入が直ちに手数料で増えた原価率分の売上につながるわけではないということです。
カジノでチップを現金の代わりに使うのもその理由です。つまり、キャッシュレス社会では、財布の紐が緩むということです。しかし、紐が緩んだだけでは購買が増えないというのは、前述のアンケートが示す通りです。
それではどうすればよいでしょうか。ガードが下がっている消費者への一般的な戦略としては、ワンランク上の商品開発 と ついで買いの誘発 が考えられます。
特に常連の、ファンと呼んでも差し支えない顧客については、ときに「あなたからもっと買いたい」という心理を持ちます。この機会にこだわりを詰め込んだワンランク上の商品開発をしてみてはいかがでしょうか。おススメは現在の平均客単価の倍の商品とその中間の価格の商品です。
3種類を用意すると中間がよく売れるという「松竹梅の法則」に従っています。試してみてください。
キャッシュレス対応についても、是非、箕面商工会議所にご相談ください!
経済産業省が提唱する メリット1:今なら端末導入のご負担なし!
キャッシュレスが進まない理由の一つとして、決済端末が数万円することが挙げられています。そこで、事業期間中は端末を本体代ゼロ円で使えるようにしました。(2019 年10 月~ 2020 年6 月まで)経済産業省がアクワイアラーに対して補助金を出すことで、アクワイアラーは端末を無償提供します。注意点としては、期間後に端末に関する請求が発生するケースです。たとえばリースの場合などは期間終了後、端末代が発生しますのでご注意ください。
経済産業省が提唱する メリット2:決済手数料3.25%以下!
当事業に参加するためにはアクワイアラーは期間中の決済手数料を3.25%以下にしなければならないと決められています。さらに期間中は国が決済手数料の3分の1を補助してくれるため、少なくとも2%台の手数料で運用することができます。注意点としては期間後の決済手数料は上がる可能性があるということです。期間後の決済手数料は公開しなければならないとなっていますので、期間後の決済手数料は何%になるのかを把握する必要があります。
経済産業省が提唱する メリット3:消費者還元で集客力UP!
家や自動車などの一部例外はありますが、消費者の購入に対して5%のポイント還元があります。参加しているアクワイアラーのポイントが得られる仕組みです。ちなみにFC店のコンビニ・ガソリンスタンドなどでの買い物は2%で、大企業からの買い物はポイントが付きません。よって大企業・FC店で買うよりも個人店で購入するという流れから集客力が上がるということです。裏返すと事業期間のキャッシュレス非対応は深刻な顧客離れを生みます。事業期間は9か月間と短いですが、対応しなければならない一番の理由はポイントにあると考えます。経済産業省が提唱する メリット4:レジ締め・現金取扱いコストを省いて業務効率化!
経済産業省は、業務効率化を挙げています。しかし、部分的なキャッシュレス化において、レジ締め・現金取扱いは額の大小の問題であり、両替・小口現金の用意・売上の入金などは変わらず発生します。そのために率直に言って、レジが1台のみの小規模な事業者にとっては、大きなメリットではないと言えます。当事業が提唱するメリットの説明をしてきましたが、ポイントバックを導入することによって、顧客を失わないためにキャッシュレスに対応することは避けられそうにありません。
そこで、キャッシュレス対応のためのポイントについても2点説明します。
加盟するアクワイアラーの選択
まずは多くの決済方法に対応できる端末を提供してくれるアクワイアラーが良いと思われます。経済産業省が定義するキャッシュレスはクレジト・デビットカード系、電子マネー系、QR コード系がありますが、複数に対応できるアクワイアラーを選ぶと便利です。端末は無料ですが、レジ周りにたくさんの端末を設置することは避けたいところです。あとは事業期間後に変化するコストと入金にかかる時間や入金手数料も確認しておいた方が良いでしょう。ちなみに当事業に不参加を表明している決済事業者もあります。決済手数料への対応
次にキャッシュレス対応を行うことによって避けられないのが、決済手数料への対策です。QRコード系の一部で決済手数料を無料にしている企業がありますが、いつまでも無料である保証はありません。決済手数料が発生した段階でキャッシュレス決済を取りやめることが、キャッシュレスに慣れ親しんだ顧客が離れる原因になることは明らかです。昨今の交通系ICカードの普及を見るに、消費者がキャッシュレスに抵抗のない社会が来る可能性は非常に高いといえます。やはり、手数料分の売上アップ策は考えなければなりません。たとえば売上の3%が手数料となるということは、原価率が3%増加することと変わりありません。原価率25%の飲食店は、原価率が28%になります。それでは売上を3%増加すればいいかというとそうではなく、増加した売上高にも原価はかかるので、3%以上売上を増加させる必要があります。原価率25%の例を続けると、4 .2%の売上増が必要になります。ここで2018年11月に経済産業省が報告した㈱野村総合研究所のアンケート結果によると、キャッシュレス決済の導入による客数の増効果は平均+2 .1%で客単価の増効果は平均+1 .6%とされています。
売上は客数× 客単価であることを考慮すると、3.73%となります。しかし、これは必要な4.2%の売上増をクリアしていません。それに、客数も客単価も変わっていないと回答した事業者が4割弱存在します。キャッシュレス利用者にとってキャッシュレスは当たり前であり、キャッシュレスの導入が直ちに手数料で増えた原価率分の売上につながるわけではないということです。
~キャッシュレス対応での売上増加戦略~
消費者がカードを持たない理由として「使いすぎてしまう」というものがあります。たしかに、脳科学によると痛みを感じるときに反応する脳の部分と、お金を支払うときに反応する脳の部分は同じであるそうです。お金を支払うとき、脳は痛みを感じているのです。お金の概念化はその痛みを感じにくくさせる効果があります。カジノでチップを現金の代わりに使うのもその理由です。つまり、キャッシュレス社会では、財布の紐が緩むということです。しかし、紐が緩んだだけでは購買が増えないというのは、前述のアンケートが示す通りです。
それではどうすればよいでしょうか。ガードが下がっている消費者への一般的な戦略としては、ワンランク上の商品開発 と ついで買いの誘発 が考えられます。
~ワンランク上の商品開発~
売上が伸びない理由を考えるにおいて、「高単価の商品がないから」というのは盲点だと思います。特に常連の、ファンと呼んでも差し支えない顧客については、ときに「あなたからもっと買いたい」という心理を持ちます。この機会にこだわりを詰め込んだワンランク上の商品開発をしてみてはいかがでしょうか。おススメは現在の平均客単価の倍の商品とその中間の価格の商品です。
3種類を用意すると中間がよく売れるという「松竹梅の法則」に従っています。試してみてください。
~ついで買いの誘発~
ガードが下がっている消費者に対してのアプローチとしてはやはり関連商品の販売が効果的です。POP でのアピールや、直接のお声かけなどついで買いを誘発する仕組みづくりを行う必要があります。ついで買いの誘発については業種によってさまざまだと思います。キャッシュレス対応についても、是非、箕面商工会議所にご相談ください!